Yuark=Kedash & Koya=UN ♮ β
── あー…えーと。締めのサイン。
ユウク=ケダッシュ、っと。良かった。ちゃんと覚えている。
こうして日誌を書くことも。大事なことだ。
果度なく、幾度も、時空を旅していると、
本当に自分の中の記憶…いや、情報というのだろうか。
いつの間にか無くなってしまっていることに気付く。
田口さんは、
『吸い取られる』って、言い方してたね。
ああ。僕らは基本的に低い次元の生命体だから、と言っていた。
なんとやらの祈りの加護があるから『直ぐ死なないで済む』とも。
時空を旅をしていると、次元や世界や場所によっては、
歳を取ったり、若返ったり、はたまた違う性別になっていたり、
それこそ、全く違う姿になっていることも関係しているのだろう。
まだ、そこらへんの仕組みとやらは…僕には理解っていないが。
いつか…解明出来る時が来るんだろう。
── ボクら、一体どうなっちゃうんだろうね。
わからない。
でも、誰かが。
強いて云うなら“僕ら”が。
やらなきゃならないんだよな。
ボクらは、誰にも覚えられて…なくても。
大事な、ことだからね。
しあわせを願う人がいるから。
待っててくれる人がいるからね。
やらなくちゃ…ならないんだ。
だって、やりたいんだから。
そうだな…
あぁ…なんだか、そうだ。
僕らが…あの僕らの世界の未来…
いや、未来のひとつ、か。
その未来の最後で視た…エピュウさんの。
あの、あの…言葉の意味が―
──大切なモノ
僕がやらなくちゃいけないこと、
やりたいこと、あるから。
今になって、
ようやく理解った気がするよ。
……
── でも、犠牲だとは想ってないよ。
僕は。 だって。
そうだね!
ボクらには、
信じられる仲間がいるもの!
必ず…また、みんなに逢うんだ!
そうだな!コーヤ君!
もし…何かあっても。
田口さんは言っていた。
『心配するな』と。
── 僕はその言葉を信じている。
だからこの日誌も、こうして歩いていることも…
必ず意味はあるし、大切な人達に伝わるって、信じている。
全部、繋がっているもんね。
ああ。そうだ。
この、この、終わりのみえない旅……
それだけが、本当に、
本当に…救い、だ、な… ……。
!!
ユウクさん!ユウクさん!
しっかり!しっかりして!!
ぁ…ぁあ。
す、すまない…コーヤ君。
だめだよ。ユウクさん。無理はよくない。
約束、したじゃないか。
つかれたときは、ちゃんとやすまないと。
『ばんぜんをきして、じぶんをたもって』 いないと…
ボクらは……!
そうだった、な。すまない。
コーヤ君。ありがとう。
── がんばろう。ユウクさん。
コーヤ、君…
うっ…うう……
ユウク、さん。
…… 泣かない、で。
がんばろう。
あぁ…。
ああ。コーヤ君。 そうだな…。